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お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2024年7月15日(月)

【薬膳コラム】土用の丑の日 鰻

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。

 五行説では、あらゆる事物や事象は
木、火、土、金、水という
五つの要素からできていると
考えられています。

春、夏、秋、冬の季節をそれぞれ
木、火、金、水にあてはめて、
土は各季節の終わりに
割り振られました。

土用は立春、立夏、立秋、
立冬の前の約十八日間をさし、
年に四回訪れます。
立秋の前日までの夏の土用は
一年中で最も暑い時期です。


今年の夏の土用は
7月19日から8月6日まで、
鰻を食べる風習のある土用の丑の日は
7月24日と8月5日の二回あります。

この風習は江戸時代、平賀源内のアイディアで、
鰻屋さんの店頭に「本日土用丑の日」と
書いて貼ったところ、評判になり、
今日に至るとされていますが、

その時代より早くに、大伴家持は万葉集で
「石麻呂(いしまろ)に 我(われ)もの申す
夏痩せに よしと云う物ぞ
武奈伎(うなぎ)捕り食(め)せ」と、
詠っています。


鰻は、名医別録に
鰻鱺魚(まんれいぎょ)という名で、
体力を養うが有毒の場合もあり、
考慮して用いる中品として
収載されています。


明代の本草綱目に、
「甘し、平にして毒あり。
五痔、瘡瘻(そうろう/傷、腫物)、
諸蟲(しょちゅう/人体に寄生して
病を起こす各種の虫類)を殺す。」
などと書かれ、鰻には毒はあるけれども、


五味を以て羹(あつもの)に
煮て(≒加熱して)食えば
虚損(慢性的な衰弱)や
長患いの勞瘵(ろうさい/
伝染性の慢性消耗性疾病)を
補えるという記述もあります。


食物性味表では鰻 (性味/平甘、 帰経/肝腎脾)は
臓腑、組織の慢性的な衰弱を改善する、
腎を補う、肝を養う、
風湿を取り除くなどの働きがあり、

気虚証、血虚証、血瘀証、虚労、
体力低下、めまい、耳鳴り、夜盲症、
痺痛などによいとしています。



 鰻にかける山椒は
胸のつかえやおなかの冷えを取り除き、
鰻の生臭みを取ります。

ある有名な鰻屋さんでは、
わさびや葱も添えられていました。


鰻を召し上がるのでしたら、
消化吸収を助け、
腸内での腐敗を防ぐ
薬味を大いに摂り入れると
いいですね。


2024月7月15日


薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子